大判例

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東京高等裁判所 平成11年(う)465号 判決

被告人 松並弘司

〔抄 録〕

所論に先立ち、職権をもって検討するに、原判決は、罪となるべき事実第一として、被告人が、公安委員会の運転免許を受けないで、平成八年二月二六日午後二時四〇分ころ、東京都世田谷区代田五丁目八番付近の道路において、普通乗用自動車を運転したとの事実を認定判示し、その事実を認定するための証拠として、右無免許運転行為に及んだことを認める趣旨の被告人の原審公判廷における供述並びに検察官及び司法巡査に対する各供述調書のほか、被告人の右運転行為を現認した旨の捜査報告書を含む司法巡査ら作成の交通事件原票及び右自動車の車種や所有者に関する関東運輸局東京陸運支局長作成の捜査関係事項照会回答書を挙示している。しかしながら、原判決は、被告人が同日時点で運転免許を受けていなかったとの点については被告人の右自白を補強する証拠を掲げておらず、しかも、原審記録を調査しても、原判示第一の事実に関して取り調べられた証拠中に右自白を補強する証拠は存在しない。したがって、原判決は刑訴法三一九条二項に違反したものといわざるを得ない。そして、原審において取り調べられた証拠によっては右事実について被告人を有罪とすることはできないのであるから、原判決における右訴訟手続の法令違反が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

(河辺義正 中谷雄二郎 高橋徹)

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